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戻ってきた席

The Returned Seat

  • 3,608字
  • 約11分

十二月二日。朝の八時。発信欄の二人の司書補の電文は、昨日薄れかけていた尾をすっかり満たして二行として完成していて、その下の受取人の欄には見慣れた四桁が座っていた。私が毎朝出勤簿に打つコードだった。

昨日、二人の司書補の電文の尾は私の四桁のほうへ薄れていた。夜のうちにその尾はすっかり薄れて場所を移し、移った先は受取人の欄だった。私はその欄を長いあいだのぞきこんだ。冬じゅう空いていて、司書長の席を得て、昨日その席を送る名簿へ送り返した受取人の欄だった。今朝その欄には私の出勤簿のコードが座っていて、その上の発信欄の行は私の手書きだった。送る行も私の手から出て、受ける場所も私のコードだった。受取人も私で、送り手も私だった。

昼に、そのことがはじまった。昨日名簿の終わりへ押しやられていた二人の司書補の行が、今日の搬出名簿から切り落とされた。搬出担当が新しい台帳を読み上げるあいだ、二人の席は新しい名前の下へ移されず、昨日まで揺らいでいた二行は今日、古い帳簿に残された。一人はほかの部署の臨時の席へ名前を書き移され、もう一人はそれさえなかった。二人はそれを四半期の再編の順番だと思っていた。臨時の席へ書き移された人は新しい部署の場所を尋ねて荷物をまとめはじめ、席のなかった人は搬出担当のそばに立ち、自分のコードを二度読み上げて、どこか書き移される場所がないかを待った。搬出担当は台帳を前へ後ろへめくって、首を振った。自分の席がなぜ古い帳簿に残ったのかを二人は尋ねず、昨日書架の空いた段を指折り数えていた人は、今日自分の名がその空いた段の一つになったことをまだ知らなかった。昨日その人の指先が押さえていた明るい四角の一つが、今日はその人の立っていた場所へ移ってきていた。

司書長はそのそばで、昨日取り戻した自分の行をまだ持っていた。昨日の安堵をまだ肩に載せたまま、二人の司書補の席がずれたことを四半期のよくあることと思いながら台帳をめくった。自分が残り、二人の司書補が押しやられた順序がどこから来たのかを、司書長は知らなかった。私だけが知っていた。司書長を残した一画が昨日私の手から出て、その一画が押し出した値が二人の司書補へ行き、二人の司書補へ行った値が夜のうちにまた私のもとへ戻ってきたのだった。司書長から二人の司書補へ、二人の司書補から私へ、代価は資料室をひとめぐりして、最初にそれを移した手の前に来ていた。

私はドギョンの日誌をもう一度思い出した。ドギョンは自分のまわりを空けないことにし、自分の行を先送りしないことにした。移しても自分、移さなくても自分という場所では決めることがないと、ドギョンは介入をやめることでその場所を受け入れた。私は昨日、その反対側を歩いた。司書長を残そうとして一画を直し、直した手で値を二人の司書補へ押した。ドギョンが止まった場所で私は手を出し、手を出した値はめぐって私へ来た。閉じる席を選んだ手が勘定にいちばん近く、いちばん先に閉じる、というドギョンの文が、送る者の場所でそのままくり返されていた。ドギョンは選ばないことにして最後に自分の行に届き、私は選んで移して最後に自分の行に届いた。二つの道が、同じ場所で終わった。

戻ってきた席は、結局、私が最初に移した席だった。昨日司書長を生かそうとして、私は司書長の行を渡る名簿へ戻し、戻した値は二人の司書補を過ぎて私の受取人の欄へ来た。一人を生かすということがその人を鎖の外へ出すことではなく次の目へ押すことなら、押すことには終わりがあり、その終わりは先送りした手がまた触れる場所だった。私は司書長を一日先送りし、二人の司書補を一日先送りし、先送りした値は資料室の狭いまわりをひとめぐりして、先送りした手に来た。生かすことはそのまま先送りで、先送りの終わりは先送りした者の席だった。

春に、私はこの場所を一度かすめて通った。あのとき私の番号は移管端末の名簿の五行目に浮かび、測っていた手が最後まで測られていくのを私は見た。画面の淡い緑の字が、夜通し誰もいない事務室で自分の終わりの桁を満たしていくのを、私は毎朝来てはのぞきこんだ。けれどあのとき私は名簿に浮かんだ一行にすぎず、その行を上げたのは私の手ではなかった。端末はひとりでに満ち、私は満ちていくのを見る場所にいた。今日は違った。今日、受取人の欄の私のコードの上には、私の手書きの発信の行があった。私を名簿に入れたのは私の手で、私をその名簿の受取人に立てたのも私の手だった。測られる場所から送る場所へ、送る場所から自分へ送る場所へと、私は移ってきていた。発信も私、受取人も私という行には、比べる外がなかった。送らない場所も、他人へ送る場所も、もう私からはなくなっていた。

受取人の欄の私のコードの下に、夕方になると二行目が淡く浮かびはじめた。また知っている顔だろうかとのぞきこんだが、今度浮かぶのは顔ではなかった。上の桁も下の桁もまだ引かれていない、空の受取人の場所だった。冬じゅう空いていた受取人の欄が司書長を得て、私を得て、いまその下にまた空いた場所を開いていた。その空いた場所は私の次の受取人で、まだ何のコードも来ていないところを見ると、いまこの資料室にいない人の席だった。送る者になれば消える、という夜ごとの文が、その空欄の上に置かれていた。ドギョンの席に私が着任したように、私の席にもいつか誰かが着任するだろう。その人はいまこの資料室にいなくて、だから受取人の欄はまだコードなしに空いていた。私が私に送ってしまえば、私の消えた場所の下で、その空いた受取人の欄が次の手を待つだろう。冬じゅう受取人のいなかった発信欄が、いま受取人を得て、その受取人の下にまた次の受取人を開いておいていた。

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