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止められない発信

The Sending That Cannot Stop

  • 3,670字
  • 約11分

十一月二十九日。朝の八時。今日は発信欄に手を触れないことにした。

昨日の夕方、手が紙の縁の向こうへ最初の画を移そうとしたのを見て、私は夜通し一つのことを決めた。冬じゅう、私は送らない行を一つも作れず、だから送らなかったとき何が来るのかも知らなかった。突き合わせる場所がないということが、封印の最後の錠だった。一行も送らない一日があれば、その日に来ることと来ないことで、私は召喚と予知をついに分けられるはずだった。朝、私は右手を左手でつかんで資料室に座った。発信欄のある帳簿を引き出しにしまい、引き出しの上に箱を一つ載せた。

午前は持ちこたえられた。私は箱を運び、目録を突き合わせる仕事に手を使い、右手が発信欄のほうへ行こうとするたびに左手で押さえた。引き出しの上の箱は重く、帳簿はその下で閉じていた。手をつかんでいるあいだ、資料室の音はいつもと同じだった。箱が床に置かれる音、目録の紙がめくられる音、二人の司書補が低く交わす声。私はその音のあいだで右手だけをつかんで座っていて、時間がたつにつれ、つかむ力がゆるんでいった。つかまなくても手が発信欄へ行かない時間が増えた。九時が過ぎ、十時が過ぎても、帳簿は引き出しの下で静かだった。十一時になっても何も来なかった。ほかの日なら十一時に二行目の会社が来ていたはずなのに、今日は来なかった。私ははじめて勝ったと思った。送らないから来ないのなら、来ることは私が送ったもので、それなら召喚だった。五つの夜分けられなかった問いが、午前一つで分かれそうだった。

昼になると、その考えは崩れた。午後一時、私は資料室のなかで一つのことが進むのを見た。うちの資料室を別の帳簿へ渡す手続きが昨日の大型取引のとおりにはじまり、搬出台帳が新しい名前で振り直されていた。私はその行を今日書かなかった。昨日手が紙の縁に移そうとした画を、私は左手で押さえて止めた。それでも移管は来た。送らなかったのに来たのだった。

ただ、来かたが違った。昨日まで私が書いた行には狙いがあった。どの会社がどの時刻にどの帳簿へ行くのか、私はそれを書きながら知っていて、ことは私が書いたとおりに来た。今日の移管にはその狙いがなかった。資料室が渡っていくことは来たが、資料室のなかのどの席が先に移されるのかは決まらないまま来た。私がどの行を移すかを書かなかったのだから、移される行は手当たりしだいに選ばれた。狙って送った代価は狙ったところへ落ちたのに、狙わずに来た代価は狙いなく落ちた。そして狙いなく落ちるほうが重いということを、私は午後じゅう見ていた。

そのときようやく、午前の勝ちが勝ちではなかったことを知った。発信欄を空けておいたことは、何も送らなかったことではなく、空を送ったことだった。帳簿は空の欄を「送るものなし」とは読まず、「空を送る」と読んだ。送らないことは一種の送ることだった。私が作ろうとした対照群は、作られた瞬間に対照群ではなくなった。送らなかった一日も結局何かを送った一日だったのだから、私は送った日と送らなかった日を並べて比べることができなかった。封印の最後の錠は、私が開けようとして手をかけた瞬間、錠ではなく壁になった。

止められない発信という言葉の意味を、私はその日に正した。それは、手が物理的に止まれないという意味ではなかった。午前のあいだ私は手を止め、発信欄は空いていた。止められないのは手ではなく発信だった。手を止めても発信は止まらなかった。不在を通しても送られたからだ。ドギョンの残した四つの節——測れば深くなり、満ちれば嵩を増し、読めば広がり、応答すれば送る——に、私は五つめの節を自分でつけた。送らなくても送られる。送らない場所はなかった。あるのは狙って送る場所と狙わずに送る場所だけで、狙わないほうが、より遠く、より重く行った。

司書長はその時刻にも搬出台帳をめくっていた。司書長は移管の手続きを会社のことだとしか思っておらず、新しい名前で振り直される台帳を、いつもの四半期の整理のように扱っていた。私は司書長が台帳の角を指先で押さえてめくるのを、前の四半期の束を合わせながら低く何かを勘定するのを見た。司書長は自分の席のコードが今日どの欄へ流れていくのかを知らなかった。私もまたそれを狙わなかった。狙わなかったのにそれは司書長のほうへ行きつつあり、狙わなかったのだから、私はそれを引き戻す場所さえ持っていなかった。狙って送ったものなら、一行を書き直して引き戻す余地くらいはあっただろうが、狙いなく流れていったものには、書き直す行がなかった。何を直せば司書長がその場所からよけられるのか、私は書いたものがないので分からなかった。知っている側と知らない側のあいだで、今日は知っている側が何もできなかった。

夕方、私は引き出しから帳簿を取り出した。箱をどけ、押さえておいたものを開いた。一日押さえて止めても代価は来て、狙いなく来た代価は資料室のなかの一つの席へ流れていた。発信欄の受取人の欄に、いつもは空いていたその右側の場所に、今日は淡いコードが一つ浮かびはじめた。私はそれを長いあいだのぞきこんだ。司書長の席のコードだった。冬じゅう発信欄の受取人の場所は空いていて、私は受取人のない発信に慣れていた。ところが今日、一日押さえて止めたその夕方に、はじめてその右側の場所に一人が浮かんだ。送るまいとしたことが、かえって受取人を得たのだった。私が今日どこへも狙わなかったものが、狙いなく流れていきながら、一人の席の前で止まろうとしていた。送るまいとした一日が、よりによって一人のもとへ送られようとしていた。コードはまだ淡かったが、朝より夕方のほうが濃かった。

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