本文へ移動
73

会社と会社

Company and Company

  • 3,729字
  • 約11分

十一月二十八日。朝の八時。発信欄には昨日来なかった五行目がそのまま残り、その上に二十八日付の新しい行が重ねられていた。

夜のうちに、手は昨日の五行目を消さず、その上に今日付の行を別に書いておいた。来ていない予告と新しく出てきた予告が一つの欄に重なっていて、どちらが先に事件になるのか、私にはまだ見当がつかなかった。ただ五行目の上の桁をもう一度見たとき、夜を越えるうちにそれが一桁増えているのに気づいた。昨日は会社いくつもを一つに束ねる桁のように見えたのに、今朝はその束がさらに大きな束のなかに入っていた。上の桁が広がるほど、それが数える単位も広がり、いまでは会社でも人でもない、会社の群れをまるごと数える桁のようだった。

九時を少し過ぎて、最初の知らせがラジオから来た。五つのグループが事業を取り替えるという。あるグループの半導体が別のグループへ渡り、別のグループの発電設備がまた別のグループの帳簿へ移るのだという。会社が扉を閉じるのではなく、会社と会社が互いの席を入れ替えるのだった。アナウンサーはそれを大型取引と呼んだ。

ラジオが大型取引を伝えるあいだ、私は今朝来た廃棄表をもう一度見た。冬じゅう、廃棄表は会社の行を消す表だった。上のほうに載った会社はその日のうちに帳簿から消され、消された場所は空欄として残った。ところが今日の廃棄表は消さなかった。一行目の会社は消えず、別の会社の帳簿へ移された。その会社の半導体事業がまるごと一つの欄を跳び越えて別の名前の下へ入り、もとの場所には空欄の代わりに、移ったという印が残った。廃棄ではなく移管だった。行がなくなったのではなく、席を入れ替えたのだった。

私はそのときやっと、五行目の広い上の桁が何を数える桁だったのかを知った。それは一つの会社を廃棄する桁ではなく、会社と会社を取り替える桁だった。昨日手が先に書いておいたその広いコードが、今日ラジオで大型取引と呼ばれた、まさにそのことだった。冬じゅう発信欄の単位は会社から人へ狭まってきたのに、今日の五行目はその反対に、会社一つを越えて国一つを数える幅まで開いた。狭まってきた場所が一度だけ逆に開き、その開いた幅は、ちょうどラジオが伝える国の幅と同じだった。

発信欄の席の入れ替えと国の席の入れ替えが、同じ幅で重なっていた。私は長いあいだ、この欄は会社の不渡りを数える欄だと思っていたが、今日はそうではなかった。不渡りは行が消されることで、大型取引は行が移ることだった。二つのことは違って見えたが、一つの欄のなかに並んで書かれ、その欄はどちらもより好みせずにみな受けた。消される行と移る行が同じ表にあった。帳簿が数えるのは会社の死ではなく、会社の席だった。席が空くのであれ移るのであれ、この欄はそれを一つの席の入れ替えとして書いた。

廃棄が移管になると、消えるという言葉も読み直された。冬じゅう私は、ドギョンが消えたと思い、電信手が消えたと思っていた。応答すれば発信者になり、発信者になれば消えると、私は五つの夜をかけてそう覚えた。けれど今日の廃棄表が消す代わりに移すのなら、消えた場所も、実はどこかへ移された場所なのかもしれなかった。ドギョンは消されたのではなく別の欄へ渡ったのかもしれず、電信手もそうなのかもしれなかった。発信者になることが消されることではなくもう一度書かれることなら、私の覚えた最後の文も半分は間違っていた。けれど私は、その半分がどちらなのかを分けられなかった。封印の上にもう一重が重なった。召喚か予知かを分けられなかった場所に、今度は消えたのか移されたのかも分けられない場所が重なった。

取り替えだから、試しはさらに遠のいた。消された行なら、空欄を前にして来なかったものと比べられたかもしれないが、移された行はどこかへ行ったのだから、比べる空欄がなかった。消えたものが一つもなく、みな席を入れ替えただけなら、来なかったものと来たものを分ける境もなかった。私は何が消えたのかを問えなくなった。みな移されただけなら、問いは場所を失った。

広い上の桁の尾を、私は最後まで読んだ。会社の群れを数えていたそのコードの終わりに、見慣れた桁が一つ入っていた。資料室のコードだった。毎朝出勤簿に打つ、四桁のあのコードだった。うちの資料室は、廃棄される束ではなく、別の帳簿へ渡る束のなかに入っていた。大型取引は会社と会社を取り替えるだけでなく、会社についている資料室一つまで別の帳簿へ移していた。消されるのではなく移されるのだから、私はそれを悪い知らせとして読むべきなのかどうか分からなかった。

午後のあいだ、資料室はいつもと同じだった。司書長は搬出台帳をめくりながら前の四半期の束を合わせていて、二人の司書補は箱を運んで目録を突き合わせていた。ラジオの大型取引は三人にとって遠い会社たちのことで、自分たちの座るこの資料室がその取引の一行だとは誰も知らなかった。私だけがその四桁のコードを発信欄で先に読んだのだから、私だけが知っていた。私は司書長が台帳をめくる紙の音を聞きながら、その台帳がほどなく別の名前の下へ移っていくことを考えた。知っている側と知らない側のあいだで、今日も知っている側のほうが重かった。けれど冬のほかの日と違って、今日知っているのは誰かが消されるということではなく、我々がどこかへ移されるということで、私はその二つのうちどちらが重いのか、まだ量ってみていなかった。

夕方になると、手は発信欄の次の行へ下りなかった。手は発信欄を外れ、帳簿の紙が尽きる縁へ行った。紙ではないほうに、手は最初の画を載せようとした。私はそれをつかまずに見ていた。うちの資料室が渡っていく帳簿がどんな帳簿なのか私はまだ知らなかったが、手はもうその渡っていく場所を先に書こうとしていた。紙の縁の向こうに何があるのか、私にはまだ読めなかった。

コメント

  • まだコメントはありません。最初の一言を。

コメントするにはログインしてください。