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  • 3,822字
  • 約10分

七月五日。受取人を決めずに、一行書いた。

九時半に、一揃いが戻ってきた。

六月の末日に、製本所へ送った。五つを糸で綴じ、背に資料番号を入れて戻ってきた。

厚さは指四本分だ。

背に書かれた番号は一つだ。中に、枝番が五つある。

九時四十分に、綴じられたものを数えた。

製本伝票に、八百六十五とある。四月の申請書の値だ。

数えると、八百六十六だ。

番号のない一枚も綴じられている。後ろから十一枚目の、あの場所だ。

製本所は枚数を数えていない。伝票にある数を写したのだろう。

十時に、最初の一枚を開いた。

合綴の表紙だ。欄が八つある。

表題と、資料番号と、枝番の一覧と、関係と、総枚数と、保管位置と、発行元と、編者だ。

七つの欄が埋まっている。四月に申請書に書いたとおりに写されている。

発行元の欄が空いている。

十時半に、要領を見なおした。

最初の一枚の下部に、付記欄がある、とある。

付記欄は欄ではない。行だ。枠がなく、下線が一本あるだけだ。

その他必要な事項、とある。何が必要な事項なのかは書かれていない。

十一時から十二時まで、何を書くかを見た。

五つを綴じたわけは、関係欄にある。

総枚数がずれたことは、余白にある。

番号のない一枚は、どこにもない。要約に入れず、枝番の一覧にも入っていない。

付記欄にそれを書けば、その一枚がはじめて欄に入る。

書けば、百七十八になる。書かなければ、まだ一枚でもなく、そうでないのでもない。

十二時半に、書かないことにした。

わけを書く場所がないので、余白に書いた。七月はじめての余白だ。

十二時四十分に、四つの最後の一枚をいつはじめて見たのかを探して読んだ。

一月十九日だ。登録作業の三日めだった。

そのときの日誌に、発行元が末尾に入れる文言だと書いておいた。

読む人のことを書いた文言だとは、書かなかった。そうは読めなかった。

一時に、付記欄に別のことを書いた。

一行だ。

この束を、次にこの行を読む人に渡す。

一時十分に、書いたものを読んだ。

受取人が、文の中にいる。人がいない。

数える人が来るのか来ないのか、書く場所がない。いつ来るのかもない。

何を残すのかも、書かなかった。

前任者の行は、切れた。私の行は、終わった。

どちらにも、何なのかがない。

一時四十分に、様式図を見た。

要領のうしろに、図がある。欄ごとに番号が付いている。

付記欄が第八欄だ。

同じ図に、枝番の最後の一枚がある。最後の一枚の下部もある。

発行表記欄、とある。

番号は、第八欄だ。

二時二十分に、四つの最後の一枚をもう一度開いた。

十三字がある場所が、第八欄だ。

私の一行がある場所も、第八欄だ。

一揃いの中で、その欄は一つだ。

三時から三時半まで、二つの行を比べた。

十三字には、送る側がある。受ける側がない。

私の行には、受ける側がある。その人がいない。

片方は、誰が見ているかを書き、誰に向けて見ているかを書かなかった。片方は、誰に残すかを書き、誰が残すかを書かなかった。

私の名前は、編者欄にある。付記欄にはない。

三時四十分に、あの十三字を声に出さずに読んだ。

我々はもう少しだけ、見ている。

一月に登録したとき、これを発行元が末尾に入れる文言だと書いた。

四月に、これを関係だと書いた。

今日は、これが私の行と一つの欄にある。

四時に、外部網の閲覧画面を開いた。

一揃いの行を開いた。

第八欄が出る。

私の一行が、画面にある。

照会する側が、それを読む。

四時十分に、回答の欄を探した。

ない。

三月に一通来たときも、なかった。あのときは、入ってくるものになかった。

今日は、出ていくものにない。

読んだ側が読んだと書く場所が、この部屋にない。

四時半に、右側の資料を開いた。

四百四章だ。増えた章の日付は、九八年八月三日だ。

私の日誌も、今日で四百四章めだ。

四時四十五分に、自分の日誌を見た。

四百四章だ。箱に入る六つめのもので、一揃いには入らなかった。

合綴は五つで申請した。六つに直すには、申請しなおさなければならない。

直せば、編者欄にある名前が、綴じられたものの一つになる。

四時五十分に、箱を開けた。

七つだ。跡は六つだ。百三十二日めだ。

去年の七月のものは、百七日だった。二十五日、越えた。

越えた日数を書く欄がない。余白に書いた。七月の二つめだ。

五時に、六つめの欄を見た。

千五百二十七だ。

五時十分に、照会記録を出した。一揃いの行が、昨日五度開かれた。英字八文字が四つだ。

五時半に、要領を閉じようとして、様式図の下の注を見た。

小さな字で、一行ある。

第八欄の記入者は編者とみなす、とある。

五時四十分に、表紙をもう一度開いた。

編者欄に、私の名前がある。四月に私が入れた。

四つの第八欄には、十三字が書かれている。

あの十三字を書いた側が編者なら、四つの編者がいる。

編者欄は、一つだ。

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