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編者の欄

The Compiler's Field

  • 3,782字
  • 約10分

四月五日。編者欄に、名前を書いた。

九時十分に、編者欄の要領を読みなおした。

一揃いに綴じた人の氏名を書く、とある。職名は不可、とある。

記入者の欄には職名が入った。正月に四つを職名で上げ、本社が不明に直させた。

編者欄は、はじめから氏名しか受け付けない。

二つの欄は、それぞれ別のことを訊いている。記入者は書いた人で、編者は集めた人だ。

九時四十分から十時半まで、二つの欄の違いを書いてみた。

記入者は、資料ごとに一人だ。編者は、一揃いに一人だ。

記入者の欄に私が入っているものが一件ある。私の日誌だ。私が書いたのだから、私が記入者だ。

編者欄に私が入れば、五件に私の名がかかる。

五つのうち、私が一字でも書いたものはない。

書いていないものに名がかかるのは、十五か月で初めてだ。

十時四十分に、もう一つのことを見た。

編者欄は必須欄だ。空ければ受け付けられない。

けれど、この欄は昨日までこの部屋になかった。

合綴申請書を書かなければ、この欄は生まれない。申請書を書くと決めたのは私だ。

必須なのに、その必須を私が呼び込んだ。

発行元欄は、私がいなくてもある。四つの束が登録されたときからあり、私が空けておくあいだもある。

編者欄は、私がいなければない。

この部屋に欄が一つ生まれ、生ませた人と、その欄に書く人とが同じだ。

十一時十分に、書いた。

私の名前だ。

この日誌には、これまで私の名前を書かなかった。日誌に氏名を書く欄はなく、書くこともなかった。十五か月のあいだ、この部屋の紙に私の名前は一度も入らなかった。

今日はじめて、この部屋の記録に入った。入ったところは日誌ではなく、一揃いの編者欄だ。

書いてから、その名前をしばらく見ていた。

欄が求めたから書いたのではない。欄を作ることを私がして、それを命じた人はいない。

正月に記入者の欄を埋めたときは、欄を埋めるのが仕事だから埋めた。今日のは、仕事ではない。

十一時半に、提出した。

受け付けられた。処理予定日は四月二十日と出た。

十二時に、三階の人が下りてきた。昼に行くかと訊いた。

画面を見て、あれは何だと訊いた。五つを一揃いに綴じた、と答えた。

誰に言われたのかと訊いた。誰にも言われていない、と答えた。

三階の人が私を見た。

じゃあ、なんでやるのかと訊いた。

尋ねてきた人がいるから、と答えた。

一人のために、それを全部やるのかと訊いた。

そうだ、と答えた。

三階の人は笑わなかった。十五か月のあいだ、この部屋に下りてきて笑わなかったのは初めてだ。

十二時半に、一覧を出した。

一行増えた。枝番が五つある。

一揃いの記入者の欄を見た。

代表一名を書くことになっている。要領に、氏名のある者を優先する、とある。

五つのうち、氏名は一つだ。

キム・ドギョンだ。

四つが不明だから、一人が五つを代表する。その人は、五つのうち一件を書いた。

一時十分に、記入者一覧を出しなおした。

四つだ。本人と、不明と、キム・ドギョンと、一揃いだ。

一揃いの行に、記入者はキム・ドギョンとある。

編者は出ない。

一覧の様式に編者欄がない。申請書にはあり、一覧にはない。

書いたのに、見えない。

今月、書いたのに引っかからないものが二つになった。表題欄の発行元の名と、編者欄の名前だ。

二つとも私が書き、二つとも一覧が読まない。

二時に、本社から電話が来た。

誰に言われた仕事なのかと訊いた。

言った人はいない、と答えた。

じゃあなぜやったのかと訊いた。

指針第二十条に要領がある、と答えた。

要領があれば、やってもいいのかと訊いた。

少し静かになった。

いけないという条項はない、と言った。

二時半から三時半まで、その電話を書き留めておいた。

やれということと、やるなということのあいだには、何もないと思っていた。

十五か月のあいだ、この部屋に来たものはどれも、やれということだった。やるなということも来た。その二つのあいだに欄があるとは知らなかった。

今日、そのあいだに立った。

そこでしたことは差し戻されなかった。差し戻されなかったというのは、正しいということではない。条項がないということだ。

三時四十分に、合綴の後続要領を読んだ。

一揃いには目次と要約を付けることになっている。

枝番ごとに何が書かれているかを十行以内で書け、とある。

五つを全部読まなければならない。読んで、かいつまんで書かなければならない。

八百六十五枚を五つのかたまりに分け、五十行のうちに収めなければならない。

一枚を一行に縮めても八百六十五行だ。五十行は、その十七分の一だ。

かいつまめば、十七のうち十六が抜ける。何を抜くかは、決める人がいる。

抜いたものを書く欄はない。要約には、残ったものだけが残る。

十五か月のあいだ、この部屋で抜いたものには、どれも事由を書いた。二月に五つめの束を外したときも、余白に書いた。

今度は抜くものが多すぎて、数えられない。

四時十分に、右側の資料を開いた。

三百十三章だ。増えた章の日付は九八年五月四日だ。

私の日誌も、今日で三百十三章めだ。

四時半に、箱を開けた。

七つだ。跡は六つだ。四十一日めだ。

五時に、六つめの欄を見た。

四百三十七だ。

五時二十分に、司書の束を取り出した。

五つのうちの一つめだ。尋ねてきた人が尋ねた、あれだ。

一枚目を開いた。最初の一行を写し取った。

写し取ったものを、原本にあててみた。

同じだ。

同じだということを、書いておいた。

十五か月のあいだ、同じだということを書いておいたことはない。食い違ったものだけを書いた。

今日同じだと書いたのは、明日食い違うものを、前もって数えておくことだ。

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