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同じ日の二章

Two Pages for One Day

  • 3,590字
  • 約9分

七月十三日。朝、まず写しを開いた。

第七十五章に七月十三日、三十三。今日の章だった。その下の第七十六章に七月十二日、三十六。昨日の日付に、昨日より大きな数が座っていた。

昨日私は、この二章を並べて見ているうちに退勤の時間になった。同じ日が二章あり、二章の数が違っていた。あのときは、どちらが今日なのかを問うていた。夜のうちに一日が過ぎてみると、問いが変わっていた。昨日は二章が同じ日を指していた。今日は一章が今日で、一章が昨日だ。昨日の章が残っていること自体はおかしくない。おかしいのは、昨日の章に座っている数だった。

九時、検索した。三十三だった。

規則どおりだった。十日 二十四、十一日 二十七、十二日 三十、十三日 三十三。一日に三つずつ。三日続けて当たった。

昨日私は、あの章に数値だけを書いて日付は空けておいた。理由があった。三十六は規則が出した数で、十四日は私が見当をつけた日だ。二つを一緒に書けば、どちらが当たって来たのかを分けられない。片方だけ書いておけば分かれる。規則が来れば数値が当たり、私の見当が来れば日付が当たるはずだった。

数値は来た。三十六そのものはまだ来ていないが、その前の三十三が来たのだから、規則は立っている。日付も来た。ただ、私が見当をつけた十四日ではなく、昨日、七月十二日だった。

分けるためにつくった欄が、三つめのものを差し出してきた。規則が出す値でも、私が書きかけた値でもない値。十四日が来ていたなら、私は自分の見当が実現するのを見ただろうし、何も来なかったなら、見当は来ないのだと学んだだろう。十二日は、そのどちらにもない。分けようとした二つの道の外から一つが入ってきたので、昨日つくった仕掛けは最初の試験で何も分けられなかった。

半年のあいだ、私は分けるための仕掛けを何度もつくった。二時間数えずに持ちこたえたこと、抽斗に鍵をかけたこと、増加率で数を出したこと、昨日日付の欄を空けたこと。四つとも同じ場所で崩れた。崩れ方も似ている。仕掛けがまちがっていると判定されるのではなく、判定することが起こらない方向へ、事態がそれていく。

十一時、請求を五件片づけた。返信を書き、目録に判をもらった。三階から人が下りてきて、今日は画面のほうを一度見てから行った。何を見たのかは聞かなかった。画面には三十三部が出ていた。昨日の三十のうち二十八はそのままで、五つが新しくあり、二つが消えていた。消えた二つは、昨日はじめて見た名前だった。消えたものを数える欄はない。総数は減らないと書いた日があったが、減らないことと出入りすることは、同じ言葉ではなかった。

消えた二つのことを、午後まで考えた。半年のあいだ、私は増えるほうだけを数えてきた。総数は減らないと先月の二日に書いた。そのあと、その文を一度も試していない。今日、二つが目録から抜けた。抜けたのが消されたのか、移っていったのか、私は知らない。消されたのなら、減らないという言葉がまちがっている。移っていったのなら、どこへ行ったのかを数える欄が私たちにはないということだ。二つを分けるには消えた場所を追わなければならず、追うことは、そのまま開くことだ。

昼を食べて戻り、二つの章をもう一度見た。

第七十五章。十三日、三十三。今日の日付に今日の数。

第七十六章。十二日、三十六。

三十六は、どの日の数なのか。規則で見れば十四日の数だ。今日が三十三なのだから、明日が三十六になる。つまり第七十六章には明日の数が座っていて、その数の横に昨日の日付がついている。数は先を行き、日付は遅れている。一つの章の中で、二日が開いていた。

過ぎた日に、まだ来ていない数が書かれていること。それを何と呼べばいいのか、私には分からなかった。予告と呼べば日付が引っかかる。予告は先を指すのに、この章の日付は後ろを指している。記録と呼べば数が引っかかる。記録はあったことを書くものなのに、三十六はまだない。予告でも記録でもない一つの章が、写しの中にあった。写しはその章に、章番号を振っていた。

四束のやり方と比べてみた。灯台守の潮時表には、次の干潮の日付が前もって書かれていた。先を指す表だった。日付と数値は同じほうを向いていた。測量技師の日誌は、測ったあとに書かれた。後ろを指す表で、そこでも日付と数値は同じほうを向いていた。前もって書かれようと、あとから書かれようと、一つの頁の中の二つの欄はいつも一つの方向を向いていた。第七十六章は、二つの欄が互いに違うほうを向いている。こんな頁は四束のどこにもなかった。ないというのは、なかったという意味ではない。四人は表を書いたが表について書きはしなかったので、彼らの表にこうした食い違いがあったのかどうかは、表だけを見ても分からない。

二時半、箱を開けた。四束はそのままだった。蓋を閉めながら、昨日と同じものを確かめたということだけを書いておくことにした。外で三十三部が出回っていても、箱の中は四つだ。半年のあいだ、この数だけが動かなかった。

戻って、日誌に今日の分を書いた。第七十五章、十三日、三十三。検索で確かめた数なので、今度は先の記入ではなく後の記入だった。書いてから、しばらく座っていた。三日前には、先に書くことが大ごとに思えた。今日は、あとから書くことが妙に感じられた。先に書くことに慣れた手には、確かめてから書くことが一拍遅れたことになる。遅れた手で、半年前の私はすべてを書いていた。あのころは、それが書くということのすべてだった。

四時、第七十七章があるかどうか見た。なかった。第七十六章で止まっていた。半年のあいだ、写しはいつも一章か三章先を行っていた。先を行く章がすべて埋まると、次の章ができた。今日は先を行く章が一つだけで、その一つがすべて埋まっているのに、次の章がない。埋まっているのに次がないのは、はじめてだった。

五時半に返信を終えた。目録を閉じ、フィルムを缶に入れた。窓の外はまだ明るく、下の階から人の出ていく音が聞こえた。私は判読機を切り、もう一度画面の前に座った。

退勤する前に、写しをもう一度開いた。

第七十六章の数値は、三十六のままだった。

日付の欄が変わっていた。七月十二日ではなかった。七月十三日だった。

今日だった。

私は画面をそのままにして、第七十五章へ上がってみた。十三日、三十三。その下の第七十六章、十三日、三十六。

昨日も、同じ日が二章あった。今日も、同じ日が二章ある。昨日は十二日が二章で、今日は十三日が二章だ。日付が一日進んだので、その章も一日進んだ。その章はどこか一日の章ではなかった。いつも今日の章で、いつも今日の場所で、明日の数を抱えていた。

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