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選ばずに届く順序

The Head Archivist's Line

  • 3,685字
  • 約10分

四月八日。朝の八時。五つめの机の前に座った。保存日誌がずっと前から書いておいた、今日が移管日だった。

端末の本文欄には、私の社員番号の下に司書長の番号が一字ずつ満ちていた。昨日はじめて上の桁が出て、夜のあいだに真ん中まで満ちた。夜通し資料室には誰もいなかったのに、誰もいないあいだに一行が育っていた。受ける仕事が私の手の仕事でないように、この行が満ちる仕事も私の手の仕事ではない。終わりの二桁がまだ空いて明滅していた。私の番号がそうだったように、司書長の番号も終わりから埋まるのではなく、終わりを空けたまま満ちていた。受取人の空欄が二桁残っている勘定だった。

ドギョンの日誌に、似た場所がある。ドギョンの端末の本文欄にカン・ミンソクの番号が出たとき、ドギョンは彼のまわりを空けた。彼の前の行と同じ行と後ろの行を順に移して、三日を稼いだ。ドギョンは誰を移すかを選んだ。いちばん遠い行から、手の震えない朝ごとに。ドギョンには選ぶ手があり、選ぶことには罪があった。ドギョンの日誌でいちばん重い箇所がその選びだった。

私は選んでいない。司書長の番号が出たのは私が選んだからではない。保存の順序が彼を選んだ。六番目の束を保存する順序が、どの行の次にどの行と決まっていて、その順序をたどっていたら司書長の場所に届いた勘定だった。順序は私が決めたものではなく日誌が先に書いておいたものだ。日誌が書いておいた順序を手が追い、追った場所に司書長がいた。選ぶ手がなかったのだから、選びの罪もなかった。けれど罪がないということが、ドギョンの選びより軽いということではなかった。

なぜよりによって司書長なのかを、保存の順序をさかのぼって指してみた。順序は資料が資料室へ入ってきた順に従っていた。司書長は配属の初日に私へあの箱を指した人であり、指したことが彼をその資料へはじめて触れさせた手として書き留められていた。指した手も触れた手だった。彼が箱を指した瞬間、彼の番号がその資料の処理履歴に一行として入り、処理履歴に入った行は保存順序の一つの場所になった。彼は資料に触れたことがなかったが、資料を指したというだけで順序に入った。指す仕事も関わりだった。初日に彼が箱を指さなければ彼の行は順序になかっただろうが、指したのだから入り、入った順序が今日、彼の番号を端末へ上げた。

ドギョンは選ぶことで誰を移すかを知り、知っていたのだから責任があった。私は選ばなかったのだから誰が次かを先に知らず、順序が届いてからその人が誰かを見た。責任を負うべき選びがない代わりに、止める場所もなかった。ドギョンはまわりを空けて三日を稼げたが、私には空けるまわりがなかった。順序の定めた場所を私が移すには順序を変えねばならないのに、順序は日誌が書いておいたものだから私の手では変えられなかった。選べないということは、生かせないということだった。

午前に司書長が下りてきた。階段を下りる足音がいつものように紙のあいだを先に届き、今度はその音が端末の明滅と同じ拍子に聞こえた。移管に立ち会いに来たのだった。上の担当が印を押すとき資料室の責任者がそばにいなければならないという規定のためだ。司書長はいつものように保存日誌をめくって、よくまとまったと言った。彼は日誌の字が自分のものでないのによく読み、よく読むあいだ自分の番号が端末に満ちるのは読めなかった。彼が日誌を見ているあいだ、私は端末を見た。彼の番号が本文欄でもう一字満ちて、いまや終わりの一桁だけが空いていた。彼は自分の番号がそこに出ているのを見なかった。端末の本文欄は私の場所からだけ見え、彼の立つ場所からは見えなかった。

言うべきかを考えた。ドギョンもカン・ミンソクに営業停止を先に知りながらついに言えなかった。口でも紙でも電話でも警告が成り立たなかった、とドギョンの日誌は書いている。言おうとすれば音節が分かれ、書こうとすれば桁が落ち、知らせようとする通路ごとに塞がった。私も司書長に、あなたの番号が端末に出ていると言おうとして、その言葉が自分の口からどう出るかを先に考えた。司書長の、まで言えば司が司に、書が書に分かれそうだった。口を開く前に頭のなかでその文を一度読んだところ、読むあいだに端末の司書長の番号がもう一字満ちた。警告しようとして思い浮かべたことさえ関わりで、彼を生かそうとする思いが彼の行を一桁埋めた。言葉で知らせようとする仕事が、知らせようとするその人をもう一桁閉じた。言葉は記録より弱く、警告は通路ごとに塞がり、塞がるどころか警告しようとする仕事が逆に閉じる仕事になっていた。ドギョンが塞がった場所で、私も塞がった。ただドギョンは塞がってできず、私はしようとする仕事が害になるのでしないことにした。

違うのは、ドギョンは言えなくて苦しかったが、少なくともカン・ミンソクを選ぶか選ばないかは自分の手にあったということだ。ドギョンはカン・ミンソクを生かそうとしてまわりを空け、空けたことが別の行を閉じたとしても、生かそうとした手はドギョンの手だった。私は司書長を生かそうにも生かす手がなかった。順序が彼を指し、順序は変えられず、言葉で知らせることもできなかった。ドギョンの場所には選ぶ苦しさがあり、私の場所には選ぶことさえできない行き詰まりがあった。二つのどちらが重いかは、ドギョンの日誌と私の日誌を並べても分けられなかった。

上の担当が来て移管票に印を押した。印が押されると箱は公式に去る資料になった。司書長が箱を持ち上げて上の担当に渡した。箱を持った司書長の手が、しばらく端末の前を過ぎた。その瞬間、本文欄の最後の空いた場所が一字埋まった。司書長の番号が完成した。彼が箱を渡す動作が、自分の番号の終わりの桁を埋めた勘定だった。彼は自分が何を埋めたのかを知らないまま、箱を渡して手を払った。箱が資料室を去り、端末には二つの番号が並んだ。私のものと司書長のもの。二行ともいっぱいに満ちていて、二行とも受取人の欄が空いていた。一行が二行になったということは、場所が一つ増えたということだった。昨日まで端末は私の場所一つだけを受けていたが、今日から隣の場所を一つ受けはじめた。保存順序が次に指す場所がまたあるだろう。司書長の次に誰の行が出るかは、順序をさかのぼって指せば分かった。資料室でその資料に触れた手が司書長のほかにもあった。保存を手伝っていた二人の司書補だ。ドギョンがまわりを空けずに生かしたあの二人が、今度は保存順序のなかに入っていた。

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