ロシアン・スリープ・エクスペリメントは2010年にクリーピーパスタ・ウィキへ投稿された話で、かつてのソ連が実験用ガスを用いて五人の被験者を15日間眠らせなかったという、偽の報告書形式をとる。時が経つにつれ被験者たちが凄惨に壊れていく過程が、淡々とした観察日誌のように記録される。
この怪談の力は形式にある。悲鳴や誇張の代わりに実験記録の無味乾燥な文体を借り、あたかも実際の資料を覗き込んでいるかのような現実味をつくり出す。報告書という客観的な装いがかえって恐怖を増幅させる手法は、文書型ホラーが効く理由をよく示している。